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村嶋秀次の雑記帳(所長ブログ)

  • アフリカ支援の現場

    2013/3/23

    blog画像平成25年3月23日
    ~アフリカ支援現場の難しさ~
    本年1月にアルジェリアで発生したテロ事件から2か月が経過した。危険な国・地域で活動を続けている日系企業は、事件後も色々と自社の駐在員およびその家族の安全確保に万全を期するため、どのような対策を講じたら良いのか更なる検討を重ねて対処しようとしているようだ。しかし、そうした企業だけが鋭意取り組んでいるだけで、国のスピードは、これまで同様、中々上がらないようである。
    3月20日付の「産経新聞」のオピニオン欄に曽野綾子さんの「透明な歳月の光」が掲載されていた。「金の出し方が下手な日本人」という題名で、曽野さんは、日本が第5回アフリカ開発会議(TICAD5)で、西アフリカ、マリなどの不安定地域に向けて、総額約520億円を拠出する方針を示したことに対して、出し方が下手であるとシニカルに指摘している。
    曽野さんの指摘のひとつは、アフリカ諸国に金を出すと、どのように使われるのか日本人は本当に知っているのかということ、もうひとつの指摘は、アフリカに猛烈に金と人をばら撒いて投資を展開している中国に日本が対抗する意味合いでの中国同様の金の拠出は、全くの愚策であるということである。
    「アフリカ諸国を根本から中国にではなく日本に向かせる方法は他にもあるはずだ。」と曽野さんは締めくくっている。
    小職は、アルジェリアのテロ事件後、アフリカで活動を続けている日系企業の要請で、3月10日から中央アフリカのコンゴ民主共和国の首都キンシャサに飛び、安全調査を行った。同プロジェクトが開始される直前の2010年3月に往訪して以来、約3年振りの現地入りであった。このプロジェクトは、無償援助で幹線道路を作っているのだが、中国も日本同様の援助を行っている。この2年半で、両国が担当している道路が徐々に完成しており、前回の訪問時と比較すると、幹線道路が確実に整備されつつあった。そこで、両国が作った道路の評判だが、小職がヒアリングしたコンゴ人全員が、日本が作った道路を絶賛した。彼らは、完成度が中国のそれとは雲泥の差だと言う。小職は土木の専門家ではないが、見て、走ればすぐに分かる。キンシャサの人たちの目は、中国ではなく日本を向いていたのである。こうした、日本の高い技術、工事に携わる日本人たちの汗にまみれた技術指導を日本は何故もっと上手にPRできないのだろうか。
    小職が出張している間に、米CNNの要請を受けた撮影会社が、日本の工事現場の取材に何度か来ていた。コンゴ民主共和国の担当省庁が働きかけたようだが、日本のメディアがこうした各国で地道に行われている日本の国際貢献の現場の様子を細かく報じたことがあるだろうか。現場で黙々と働く日本人の人たちの安全を確保するための諸点検を行うことが小職の今回の任務であったが、帰国したその日に曽野さんの記事を読み、現場では中国から日本に向かせているのに、それが国益に反映される形になっていないのが残念である。霞が関の人たちは、そうしたことに果たして気付いているのだろうか。
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