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村嶋秀次の雑記帳(所長ブログ)

  • ~日々進化する日本国であるはず~

    2015/1/24

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    当社は、お客様(日系企業)からの要請で、数年前からイラク、シリア、トルコ、イラン等の国々に関する治安関連情報を収集・分析している。このため、1年に1回は、当社コンサルタント(自衛隊OB)が現地入りして、邦人が活動する拠点、周辺等を実際に我々の目と肌で確認している。小職も近いうちに、現場確認をする予定だ。

    そんな中、「イスラム国(ISIS)」と見られるテロ組織が、拉致している邦人2人の映像をネット上に流して、身代金を要求した。身代金は、桁外れの2億ドルである。安倍総理の中東訪問時を狙った巧妙な戦術だ。本ブログを書いている24日時点で既にビデオ公開から72時間は経過している。人質となっている邦人2人が無事に解放され、保護されることを希望する。

    小職は、本件について日本政府が、過去の同種事件から様々な教訓を得ていることから、かなりスマートな諸対策を秘密裡に遂行しているものと見ている。「テロに屈しない」「身代金は支払わない」「各国と密に連携する」等ということは、表向きの話だ。昨年、1人目の邦人が行方不明となり、その後、2人目の邦人が同様の事態となった段階から、日本政府は、秘密裡に水面下で各種の活動を継続していたはずであり、なかなか良い結果が出ない矢先に犯人側が公開したものと思われる。犯人側の狙いは、既にメディアが報じているように色々とあるのだろう。

    小職は、日本政府が一定額の身代金を支払ってでも、邦人を救出するという方法を最優先で採りつつ、今後粘り強く交渉を進めていくものと見ている。米英が早い段階から、身代金は支払うべきではないと言っているのは、日本が前述した方法を採っている、或いは、採ろうとしているからではないだろうか。

    過去の同種事件で、日本政府は表向きには、身代金の支払いはないと言っているが、本当にそれを信じている我々業界の関係者はいない。ドイツやフランスが身代金を支払って人質を救出しているのだから、日本政府がその方法を検討しない筈はなく、日本人のこの種事件発生時の一般感覚にも合致する。しかし、交渉人の選定、金の運搬・受け渡し、人質の安全な確保等、難しいハードルが横たわる。

    他方で、情報収集・分析による、人質の居場所の確認、他国の特殊部隊による強襲・確保(残念ながら、今の日本では、警察のSATや自衛隊の特殊部隊は使用できないだろう)の方法も検討しているはずだ。あらゆる角度から検討しているということは、そういうことで、他にも可能性のあることは模索していることだろう。

    安定した政権の下でNSCも組織され、警察のTRT-2も特命を帯びて緊急展開し、ようやくこの種危機に強い、普通の国家になろうとしていると信じたい。日本の治安・情報当局は、ここまでやれるというのを是非見せてほしいものだ。